お子さまが何かに集中していると、他のことがまったく気にならなくなってしまう。反対に、気になることがあると、今取り組んでいることに集中できなくなってしまう——こうした「落ち着きがない」「集中力が続かない」というお悩みは、多くの保護者の方からお聞きします。
実は、こうした「同時に複数のことへ気を配る力」は、特別な訓練を積まなくても、楽しい運動遊びの中で少しずつ育てていくことができます。アイビー米子教室では先日、平均台の上を渡りながら、重いメディシンボールを振るという活動に取り組みました。
平均台とメディシンボール、「同時に行う」から難しい
平均台を渡ること自体は、多くのお子さまが練習を重ねればできるようになります。重いメディシンボールを振ることも、立ち止まった状態であれば難しくありません。しかし、この二つを「同時に」行うと、途端に難易度が上がります。
バランス感覚(前庭覚)を使う平均台渡り
平均台の上でバランスを保つ力は、主に前庭覚と呼ばれる感覚が担っています。前庭覚は、耳の奥にある内耳で感じ取る「体の傾きや動き」の感覚で、姿勢を保ったり、体の軸を安定させたりするときに働きます。
力加減の感覚(固有受容覚)を使うボール運動
一方、重いボールを振るときに必要になるのは固有受容覚という感覚です。これは筋肉や関節から伝わる情報をもとに、どれくらいの力を入れればよいかを調整する感覚で、力加減をコントロールするために欠かせません。
「二つのことを同時にやる」経験が育てる力
平均台の上でバランスを保つことと、手に持った重いボールを振ることは、別々の感覚・別々の力です。片方だけなら簡単でも、同時に行うと、体の使い方を瞬時に調整する必要が出てきます。
ボールの重さに体が引っ張られそうになっても、足元の感覚を頼りに踏みとどまり、バランスを立て直す。この繰り返しは、運動面の力だけでなく、一つのことに意識を向けながら、別のことにも気を配る力の育ちにもつながります。
- 話を聞きながらノートを取る
- 歩きながら周りの状況に注意を払う
- 遊びながらお友達の様子にも気づく
こうした、日常生活や学習の場面で求められる「同時並行の力」は、今回のような複合的な運動遊びを通じて、少しずつ育まれていきます。
ご家庭でも取り入れられる工夫
特別な道具がなくても、ご家庭で似たような経験を積むことができます。
- コップに水を入れたお盆を持って、こぼさないように歩く
- リュックサックなど少し重さのあるものを背負って、まっすぐ歩く
- ボール遊びをしながら、合言葉が聞こえたら動きを止める
いずれも、体のバランスを保つことと、別の課題に意識を向けることを同時に行う遊びです。遊びの延長として、無理のない範囲で取り入れてみてください。
まとめ
難しい課題に見えても、できることから少しずつ段階を踏んでいく「スモールステップ」を大切にすることで、お子さまは無理なく挑戦を重ねていくことができます。「できた!」という体験の積み重ねが、自信や自己肯定感を育てる土台になります。
アイビー米子教室では、お子さま一人ひとりのペースを大切にしながら、こうした複数の感覚を組み合わせた運動療育を行っています。
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