子どもの発達において、「遊び」は単なる楽しい時間ではなく、心と身体を成長させる大切な学びの場です。
鳥取県米子市の児童発達支援・放課後等デイサービス「アイビー米子教室」では、子どもたちが夢中になれる活動の中に、療育の専門的な視点を散りばめています。
今回は、プールスティックを槍のように投げて的を倒す「投擲(とうてき)活動」を例に、少し不安定な環境が子どもの脳と身体にどのような良い影響を与えるのか、その秘密を解説します。
「ただ投げる」だけではない、足元に隠された工夫
的を狙って物を投げる動作だけでも、子どもにとっては立派な運動です。しかし、療育の現場ではそこにもう一工夫を加えることがあります。それは、あえて「足場を不安定にする」ことです。
例えば、バランスストーンのようなグラグラする足場の上に立ち、落ちないように踏ん張りながら狙いを定めて投げる。この「バランスを取りながら目的の動作を行う」という同時進行のプロセスに、子どもたちの成長を促す大切な要素が凝縮されています。
遊びを通して育まれる3つの力
不安定な足場で的を狙う活動は、以下の3つの側面から子どもの発達にアプローチしています。
1. 力加減をコントロールする「固有受容覚」
筋肉や関節の動きを感じ取るセンサーを「固有受容覚(こゆうじゅようかく)」と呼びます。この感覚が育つことで、どれくらいの力で投げれば的に届くのかを身体全体で学ぶことができます。
この力加減をコントロールする力は、日常の細かな動作にも直結しています。鉛筆で適切な濃さの字を書くための筆圧調整や、お友達と優しく手をつなぐコミュニケーションの場面でも、この固有受容覚の働きが欠かせません。
2. 姿勢を保ち体幹を育てる「前庭覚」
グラグラする足元で身体の傾きを感じ取り、倒れないように瞬時に姿勢を立て直す。このときに働いているのが、耳の奥にある「前庭覚(ぜんていかく)」というセンサーです。
前庭覚がしっかりと働くようになると体幹が安定し、重力に対してまっすぐ姿勢を保つ力が育ちます。これは学校の授業中に背筋を伸ばして座り続ける力や、落ち着いて話を聞く姿勢へとつながる重要な要素です。
3. 目と手のチームワーク「協調運動」
目で的の場所をしっかりと捉え、その視覚情報に合わせて腕の動きやタイミングを調整する力を「協調運動」と呼びます。
視覚と身体の動きを連動させるスキルが上達すると、黒板の文字を見て自分のノートにスムーズに書き写す板書のような、学習面での土台づくりにも大きく役立ちます。
脳の活性化と成功体験がもたらすもの
身体を思い切り動かしながらバランスをとることは、脳の前頭葉を活性化させます。前頭葉は、自分の気持ちをコントロールしたり、ひとつのことに集中したりする力を司る重要な部分です。
そして何より、狙った的がパタン!と倒れた瞬間の「できた!」という成功体験は、子どもたちの自己肯定感を大きく引き上げます。失敗しても何度も挑戦し、見事やり遂げた喜びは、次なるステップへの強力なモチベーションとなります。
ご家庭でできる!簡単アレンジ遊び
こうした療育的な視点を取り入れた遊びは、ご家庭でも簡単にアレンジして楽しむことができます。
【準備するもの】
- 柔らかいクッションや座布団(不安定な足場の代わり)
- 丸めた靴下(投げるものの代わり)
- 空き箱やカゴ(的の代わり)
【遊び方】
クッションの上に立ち、バランスを取りながら丸めた靴下を箱に向かって投げ入れます。距離を少しずつ遠くしたり、箱を小さくしたりして難易度を調整してみてください。親子でゲーム感覚で楽しみながら、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
スモールステップで育む自己肯定感
アイビー米子教室では、小さな「できた!」の積み重ね(スモールステップ)を大切にしています。
遊びを通した成功体験が子どもたちの自己肯定感を育み、「もっとやってみたい」「自分にもできる」という主体的な姿勢へと繋がっていくよう、今後も専門的な視点に基づいたサポートを行ってまいります。
体験会・個別相談のご案内
アイビー米子教室では、専門的な視点と温かいサポートで、子どもたちが自信を持って成長できるよう後押ししています。
受給者証をまだお持ちでない方でも、個別相談を随時承っております(体験レッスンにつきましては受給者証取得後のご案内となります)。公式Instagramでも日々の療育の様子を更新中です。どうぞお気軽にお問い合わせください。